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奈良地方裁判所 昭和23年(行)1号 判決 1949年2月26日

原告

細川敏行

被告

大宇陀町農地委員会

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

請求の趣旨

被告大宇陀町農地委員会が原告所有の別紙物件表記載土地に対しなした買收計画は之を取消す被告国は前項の買收計画の未確定なること並に之に基因する各行政行為の執行力のないことを確認せねばならない。

訴訟費用は各被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、其の請求の原因として別紙目録記載土地は原告の所有であるところ被告大宇陀町農地委員会は自作農創設特別措置法(以下自作法と略称する)に基き原告を不在地主として昭和二十二年九月八日右土地を買收農地に編入して買收計画を決定し翌九日公告したので同月十九日異議を申立てた、被告農地委員会が同月二十二日異議を却下する決定をしたので同年十月十八日奈良県農地委員会に訴願を提起したところ県農地委員会より同年十二月十二日附同県農地委員会名義の訴願裁決通知の件と題する書面を発送して來たのを原告は同月十九日送達を受けて県農地委員が右買收計画を承認して原告の訴願却下の裁決をしたことを知つたのである。然しながら(一)原告は奈良県宇陀郡大宇陀町に住所を有する在村地主であり不在地主でない即ち原告家族に兄妹女子二人男子二人あつて女学校中学校へ通学させる必要の為昭和十四年三月一時右原籍地を離れて大阪府中河内八尾町(現在八尾市)へ一時居を移したけれども祖先傳來原籍地に世襲の住家及山林田畑存在し祖先の祭祀を同地に継続せねばならないから原籍地住家に留守番を置き原告自ら毎月二、三囘帰來し農地二段歩耕作し居るものである從つて原告を不在地主として本件土地の買收計画を決めたのは違法である(二)別紙目録第一号記載土地は大宇陀簡易裁判所に近接四、五十間の箇所に在り周囲に家屋存在して必然的に宅地に変更しなければならない情況にあるから之を農地として保有さすことは社会情勢上許されないものであるので当然農地としての買收計画から除外さるべきものである(三)別紙目録第二号記載土地の買收対価については特別事情存するのに公定価格を定めたのは失当である從つて被告農地委員会の決めた買收計画は実質的に違法であるばかりでなく被告農地委員会が右原告の異議申立を却下する決定書に被告農地委員の署名捺印がない行政処分の成立について必須の形式要件を欠如するものであるから被告農地委員会の右異議却下決定は無効である次に奈良県農地委員会の訴願却下の裁決並買收計画の承認なる行政処分には左の違法がある即ち(一)自作法第八條に訴願提起あつたとき裁決を経て後県農地委員会は町村農地委員会より申請手続を受けてから買收計画を承認することを要する旨規定されて居るのに原告が訴願を提起した昭和二十二年十月十八日以前である同年九月三十日に県農地委員会が買收計画を承認して居るのは明かに土地所有者の異議権を無視した違法の処分で県農地委員会の承認行為は無効である(二)県農地委員会が行う買收計画承認と云う行政処分はこれを明確にする文書作成を必要條件とするのに本件において県農地委員会が買收計画を承認したことの文書が存在しないから形式的にも無効である(三)県農地委員会が同年十一月二十九日訴願裁決をするに当り却下の決定権を事務当局に一任する旨議決した、訴願裁決権は県農地委員会が自ら行うべきもので之を理由なく他に委任して行はしめるのは違法であり事務当局が会長名義を冐用して作成した裁決書は無効であるしかも会長が議事に関與して居ないから旁々右裁決書は違法であること明かである(四)通常訴願裁決には予め議案を附して委員会の議事に上程することを要するのに本件において訴願申立書を議案として提出されなかつたから裁決は手続上無効である(五)前記の樣に事務当局が昭和二十二年十二月十二日訴願却下の裁決書を作成するに当り故意に日附を同年十一月二十九日に遡らせて記載した、この瑕疵は裁決で云う処分を違法ならしめるものである以上の理由で被告農地委員会がした本件土地買收計画及異議却下の各処分及県農地委員会がした訴願裁決並買收計画承認と云ふ処分は総て無効であるにもかかわらず知事は買收計画を確定せるものとして買收手続を進行しようとするから茲に被告農地委員会に対し農地買收計画の取消を求め被告国に対し買收計画の未確定であること及爾後の行政行為の執行力がないことの確認を求める旨陳述した。(立証省略)

被告大宇陀農地委員会は主文と同旨の判決を求め答弁として原告主張の土地が原告の所有であること及被告が自作法第三條第一項に基いて原告主張の各日時其の主張の買收計画を決定公告し原告より其の主張の異議を受けて其の却下決定をしたことは認める、しかしながら右各処分は何れも原告主張の樣な違反はない即ち(一)原告が大宇陀町に家屋を所有することは認めるが原告が在村地主であるとの主張事実を爭う原告が昭和二十一年度に再三大宇陀町へ転出入していたのは事実であるけれども昭和二十年中は不在で同町で生活必需物資の配給を受けて居ない昭和二十一年十月十五日現在の衆議院議員選挙人名簿調整の際世帶主細川信太郞が大阪府中河内郡八尾町の住所を申告し原告が昭和二十二年四月同町で選挙権を行使して居るから昭和二十年十一月二十三日現在における原告の住所が大阪府に在ること明瞭であるから被告が原告を不在地主として本件買收計画を決定したのは適法である(二)別紙目録第一号記載土地が原告主張の箇所に所在することは爭ないが原告主張の樣に土地使用の目的を変更することを相当とする農地でないから被告が自作法第五條第五号の指定地として取扱はなかつたことに違法はない(三)原告が農地所有者として被告農地委員会に対し買收計画に定める対価の不当廉価を主張して該計画の処分取消を訴求することは自作法第十四條第二項の規定からして許さるべきでない又原告の右異議を却下した被告の決定に原告主張の樣な手続上の違法も存じないから被告の決定した農地買收計画の取消を求める原告の本訴は失当であると陳述した。(立証省略)

被告国は原告の訴を却下する旨の判決を求め其の理由として原告が昭和二十二年十二月十九日県農地委員会より訴願裁決通知書の送達を受けながら昭和二十三年一月二十六日当庁に本訴を提起したのは明かに自作法第四十七條の二第一項同法附則第七條に定める出訴期間経過後の訴であるから本適法として却下さるべきであると陳述し本案につき主文と同旨の判決を求め答弁として原告主張事実中自作法に基き原告主張の各日時被告大宇陀町農地委員会が原告主張の所有土地の買收計画決定公告し原告より申立てた異議却下決定をしたので原告が県農地委員会に訴願提起した各事実は認めるけれども原告主張の農地買收手続の各行政処分は孰れも適法であつて原告主張の樣な取消さるべき又は当然無効とすべき違法はない。県農地委員会は被告農地委員会より原告の異議却下決定後原告からの訴願受理前昭和二十二年九月二十七日本件農地買收計画の承認申請を受理したので未だ原告の為訴願提起の期間は殘されては居たが同月三十日の第七回委員会で買收計画を審議し訴願提起期間内に後日訴願されたとき訴願を審議の上之を認容するとき右買收計画の承認は当然効力を失はしめ、若し却下するとき承認の効力を確定させることの條件附で右計画を議決承認したところ原告から同年十月十八日訴願提起あつたので同年十一月二十九日第九回委員会において審議し被告農地委員会が昭和二十年十一月二十三日現在において原告を不在地主として買收計画を定めたことを至当と認めて訴願却下の裁決をしたのである從つて右訴願裁決と同時に先きに県農地委員会のした買收計画の承認は確定的に効力を生じたのであつて行政処分が條件附で有効に為されて居る事例と自作法上の処分とを殊更区別して之を違法とすべき理由はない又県農地委員会が訴願裁決をしたとき委員会が決議した却下の裁決の文書の作成方を事務当局に委任したことは事実であるけれども却下の決定権を委任した訳でないから会長自ら作成しないで他に之を委任して作成させるも裁決書の効力に影響を及ほすものでない、其他原告主張の手続上の瑕疵は凡て本件農地買收計画を違法ならしめるものでないから原告の被告国に対する本訴請求は失当であると陳述した。(立証省略)

理由

被告国は原告の本訴は自作法所定の出訴期間経過後に提起された不適法の訴である旨主張するけれども自作法附則第七條第一項(昭和二十二年改正法律第二百四十一号)の適用上右改正法律の施行せられた昭和二十二年十二月二十六日から一箇月内に原告が当庁に本訴を提起したこと記録上明かであるから右抗弁は採用しない。本案につき別紙目録記載土地が原告の所有であること及自作法に基いて原告主張の各日時被告農地委員会が右土地の買收計画を決定公告し、原告が異議を申立て、被告農地委員会が却下決定し、原告が県農地委員会に訴願提起し同委員会が訴願却下の裁決したことは孰れも本件当事者間に爭ない原告は本件買收計画に対する不服として先ず(一)原告が奈良県宇陀郡大宇陀町に住所を有するのを無視して被告農地委員会が本件土地を買收計画に編入したのは違法であると主張するから其の当否を審究するのに原告が其の原籍地大宇陀町に世襲の山林田畑並住家を有し居り昭和十四年三月以來大阪府中河内郡八尾町へ居を移して居るが祖先の祭祀は原籍地で施行し居れることは口頭弁論の全趣旨に徴し被告等の明かに爭はないところである原告は兄妹等の敎育の必要上一時假りに転住したに過ぎないと主張するけれども之を認める証拠がない成立に爭ない丙第四号証同第十号証に拠れば原告は大阪高等工業学校を卒業して尼崎市内大日本軽合金株式会社に就職し同会社解散後大阪府中河内郡八尾町双葉女学校敎官に就職し原告実父信太郞も亦高安園農事株式会社を経営し同地に居住して居て原籍地の住家に管理人を置き若干の土地を耕作させて居り原籍地と往來して居たが昭和二十年中原籍地に定住して居なかつたことを認め得るに足りる斯樣な場合原告の経歴職業から推して自作法附則第二項(昭和二十一年法律第四十三号)所定の昭和二十年十一月二十三日現在における原告の生活本拠たる住所は右原籍地大宇陀町区域以外の右八尾町に在るものと認めるを相当と解する從つて自作農創設の為可及的広汎に農地を解放することを本旨とする自作法の適用上被告農地委員会が原告を不在地主として本件買收計画を決めたのは適法であつて大宇陀町に原告所有の住家世襲財産の存在すること及同地において祭祀を施行する等の事実は將來原告が同町に復帰居住する可能性あることは一応之を推測し得らるゝけれども然し原告が現に同地に住所を設定して居るものとは速断し得られないのであつてかゝる事実は未だ右認定を覆すに足りない、(二)原告は別紙目録第一号記載の土地は大宇陀簡易裁判所の近傍に所在し社会情勢上必然的に宅地に変更することを要する土地であるのに之を農地買收に編入したのは違法であると主張するけれども右土地が孰れも現に自作法第二條第一項の農地であることは当事者間に爭いないのみならず自作法第五條第五号にいわゆる指定農地としての県農地委員会の承認又は指定のあつたことの見るべき証拠のない本件においては被告(大宇陀町)農地委員会が原告の右土地を指定農地として本件買收計画より除外せなかつたのは寧ろ当然のことであつて此の点に関する原告の攻挙は其の当を得ないものと謂はなければならない。原告は被告農地委員会のした異議却下決定書には処分庁の署名捺印がないから該決定が無効であると主張するけれども成立に爭ない乙第二号証の一、二に拠れば大宇農第二六五号昭和二十二年九月二十四日附農地買收計画に対する異議申立に対する決定通知の件と題し被告農地委員会長の署名ある文書の別紙綴合の体裁に決定書作成せられて居て右決定書の作成名義が一見明瞭であつて右決定書の樣式に法規の定がないから右決定と云ふ処分行為を無効とする右主張を採用しない、次に被告農地委員会が本件買收計画の公告を昭和二十二年九月十日にしたことは当事者間に爭ひないから異議を却下された原告は同年十月二十日迄の期間に訴願を提起し得るところ原告が同月十八日県農地委員会に訴願提起したことも亦当事者間に爭がない、原告(一)県農地委員会が原告の訴願提起を俟たないで同年九月三十日買收計画を承認したから其の処分は法律上当然無効で買收計画自体違法であると主張し被告国は県農地委員会の承認は訴願期間中になしたるものであるけれども該承認は訴願期間内に訴願があつて其の訴願が認容せられたときは買收計画の承認は当然効力を失うこととし又訴願が却下せられたときは買收計画の承認は其の効力を確定させる趣旨の條件附行政処分として為したるものであつてかくの如き行政処分は適法であると抗弁するから此の点について審究するに自作法は農地買收手続を可及的迅速に完結させる為に町村農地委員会の買收計画の縱覽異議申立、訴願提起並其の決定裁決等の手続につき同法第六條第七條に夫々期間を定めると共にその第八條において買收手続中凡そ三つの場合即ち(一)買收計画に対し期間内に異議の申立のなかつた場合(二)異議の申立があつてそのすべてに対し却下の決定があつて期間内に訴願のなかつた場合(三)異議申立却下の決定があり更に期間内に此の決定に対し訴願の提起があつてそのすべてについて却下の裁決のあつた場合以上各場合を予想してこれを例挙すると同時に右各場合はそれぞれ時間的に遲速の差異はあるのではあるが市町村農地委員会としては右各場合に即応して買收計画について遲滯なく都道府県農委委員会の承認を受けなければならないことを規定してをるのであつて同條の規定は畢竟市町村農地委員会に対し右各場合普通一般に即応して買收計画について都道府県農地委員会の承認を受けるべき時期と及びその遲滯測定の基準を明にし惹いてはその間当該行政官庁相互の処分の矛盾等を無からしめつゝ可及的に買收手続を速進せしめようとする法意に外ならないものであつて同法條に牴触する時時において為された市町村農地委員会からの買收計画についての承認申請並にこれに対して為した都道府県農地委員会の承認を総て全然無効とする法意でないことは同法條自体及自作法の全趣旨よりして毫も疑ないのである蓋し市町村農地委員会からの承認申請が同條所定の時期を基準として稍遲滯があると認め得らるゝ場合例へば一週間又数日といふように僅かな遲滯が看取し得られ且つ都道府県農地委員会がこれに対しこれ亦多少遲滯して承認したとしてもこれ等総ての行政行為を無効とすることは農地改革を早急に実行せんとする自作法全体の趣旨より見て極めて穩当でないのであつてかゝる行政行為はこれを有効なものと認めねばならぬと同樣に同條所定の時期以前に為された市町村農地委員からの承認申請及びこれに対して為した都道府県農地委員会の承認も亦そのこれあるが為めに買收当事者の権利又は救済方法等を著しく阻害若しくは侵害するか將又公秩に反する等特別なる事情のない限りかゝる行政処理処分は前敍遲滯の場合と同樣自作法全体の趣旨よりして許容せらるゝものと解するのが相当である、本件についてこれを観るに県農地委員会が原告の訴願提起前同年九月三十日買收計画を承認したことは当事者間に爭なく成立に爭ない、丙第八号証に拠れば県農地委員会が訴願却下の裁決完結前期間内に訴願が提起されたときは訴願を審議し之を認容するとき承認の効力を失はさせ、却下するとき承認の効力を確定さすことを條件として買收計画承認の決議をしたことを認め得るのであるから右承認は其の為すべき手続上の時期において自作法第八條に副はざる瑕疵あるものということは出來る然しながらかゝる行政処分と雖もそのこれあるがために具体的に其の弊害の存しない限り許さるべきであることは既に述べた通りであつて殊に況んや成立に爭ない丙第六号証に拠れば県農地委員会が先きにした買收計画承認に影響されることなく同年十一月二十九日公正に審議を盡して原告の訴願却下の裁決をしたことを認め得る以上前記承認は之れと同時に確定的に効力を発生したる有効のものと認むるのが相当であつて他に具体的弊害の見るべきもののない本件においては原告のこの点に関する攻撃は結局これを採用することはできない、原告は(二)買收計画の承認と云う行政処分は文書の作成を必須要件とするのに本件においては県農地委員会の買收計画承認を表示する文書がないから右承認行為は無効であると主張するから案ずるのに自作法第八條の承認という処分は県農地委員会が買收手続を実施する下級機関の決定した買收計画を審査確定さす処分で被買收者その者を直接の目的としてなす行政処分ではないのであるから買收計画そのものに対し承認のあつたことがわかればそれで足りるので必ずしも形式的文書の作成を必要としないのであつて成立に爭ない丙第八号証県農地委員会備付の第七回委員会会議録中に本件買收計画について承認議決のあつたことを明瞭に看取できるから原告の右主張も採用しない、原告は(三)県農地委員会が原告の訴願裁決に当り理由なく事務当局に却下の決定権を委任したのは違法であり議事に関与しない会長名義を冐用して作成した裁決書は無効であると主張するけれども訴願却下の裁決権を事務当局に委任したことを認める証拠がなく却つて前示丙第六号証及成立に爭ない同第五号証の二に拠れば県農地委員が原告の本件訴願を裁決するに当り全員一致の意見を以て訴願理由ないものとして却下の裁決を表決すると共に裁決書の作成を事務当局に委任する旨議決したこと及会長代理が欠席の会長を代理して右議事を主宰したことを認め得るから裁決処分成立の形式的書面の作成を委員以外の関係事務員に委任し、会長名義で裁決書を作成させても右裁決そのものの効力に消長を及ぼさないのみならずかゝる方法による裁決書自体もこれを無効とすべき理由のないことはいうまでもないことであるから右主張を採用しない、次に原告は(四)訴願裁決には予め議案を付して上程すべきものであるのに本件において議案を提出しなかつたから訴願裁決は無効であると主張するけれども前示丙第七号証及成立に爭ない同第七号証の二によれば県農地委員会が原告の訴願申立書の要旨を摘示した訴願一覽表なる文書を第七号議案として上程し議事に移つたことを認め得るのであつてかゝる訴願一覽表は議案として訴願申立書と同一視し得べきもので從つて議案の提出なくして議事を進行したりとの原告の主張は当らないのである次に原告は(五)事務当局が昭和二十二年十二月十二日訴願却下の裁決書を作成するに当り故ら其の日附を同年十一月二十九日に遡らしめて記載したから右裁決は違法であると主張し日附を遡らしめて作成したことは被告国において認めるところであるけれども之が為訴願申立人に不利益を及ぼしたことの特別の事情あることを認むべき証拠がないから右は單に訴願裁決のあつた日に符合するよう裁決書を作成したまでゞあつて該裁決書を裁決書にあらずということができないと同時に当該裁決そのものの効力にも何等影響を來さないものである、してみれば本件農地買收計画は原告がいうようなこれを取消さねばならぬ理由は一も存しないのであつて且右計画については県農地委員会の承認があつて有効に確定したことも亦前示説明によつて明かであるから被告国としては之に基因する各行政行為の執行力を有して居る訳である以上の理由によつて被告等に対する原告の本訴請求を何れも理由なきものと認め訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條を適用して主文の通り判決する。

(目録省略)

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